蓄電池設備とは、消防用設備等の非常電源設備の一つで、消防用設備等に電力を供給するため、一般商用電源とは独立した回路で蓄電していた電源を使用する設備です。
1.【条文】
消防法施行規則第12条第1項第4号
2.【解説・その他】
・電気を使用する消防用設備等においては、非常電源が必要です。
・蓄電池設備には鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素などがあります。
・蓄電池設備に必要な基準は次のとおりです。
①非常電源専用受電設備と同じ基準
| (イ) | 点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。 |
| (ロ) | 他の電気回路の開閉器又は遮断器によって遮断されないこと。 |
| (ハ) | 開閉器には屋内消火栓設備用である旨を表示すること。 |
| (ニ) | 高圧又は特別高圧で受電する非常電源専用受電設備にあっては、不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸を設けた専用の室に設けること。 ただし、次の(1)又は(2)に該当する場合は、この限りでない。 (1)消防庁長官が定める基準に適合するキュービクル式非常電源専用受電設備で不燃材料で区画された変電設備室、発電設備室、機械室、ポンプ室その他これらに類する室又は屋外若しくは建築物の屋上に設ける場合 (2)屋外又は特定主要構造部を耐火構造とした建築物の屋上に設ける場合において、隣接する建築物若しくは工作物(以下「建築物等」という。)から3m以上の距離を有するとき又は当該受電設備から3m未満の範囲の隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られ、かつ、当該建築物等の開口部に防火戸が設けられているとき |
| (ヘ) | キュービクル式非常電源専用受電設備は、当該受電設備の前面に1m以上の幅の空地を有し、かつ、他のキュービクル式以外の自家発電設備若しくはキュービクル式以外の蓄電池設備又は建築物等(当該受電設備を屋外に設ける場合に限る。)から1m以上離れているものであること。 |
②蓄電池設備に追加される基準
| ※ | 容量は、屋内消火栓設備を有効に30分間以上作動できるものであること。(自家発電設備と同様に追加) |
| (イ) | 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。 |
| (ロ) | 直交変換装置を有しない蓄電池設備にあっては、常用電源が停電した後、常用電源が復旧したときは、自動的に非常電源から常用電源に切り替えられるものであること。 |
| (ハ) | キュービクル式以外の蓄電池設備にあっては、次の(1)から(5)までに定めるところによること。 (1)蓄電池設備は、設置する室の壁から0.1m以上離れているものであること。 (2)蓄電池設備を同一の室に二以上設ける場合には、蓄電池設備の相互の間は、0.6m(架台等を設けることによりそれらの高さが1.6mを超える場合にあっては、1.0m)以上離れていること。 (3)蓄電池設備は、水が浸入し、又は浸透するおそれのない場所に設けること。 (4)蓄電池設備を設置する室には屋外に通ずる有効な換気設備を設けること。 (5)充電装置と蓄電池とを同一の室に設ける場合は、充電装置を鋼製の箱に収納するとともに、当該箱の前面に1m以上の幅の空地を有すること。 |
| (ニ) | 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。 |
・消防用設備ごとに必要となる非常電源及び時間は次のとおりです。
| 消防用設備等 | 非常用電源の種類 | 使用時分 |
| 屋内消火栓設備 スプリンクラー設備 水噴霧消火設備 泡消火設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 不活性ガス消火設備 ハロゲン化物消火設備 粉末消火設備 | 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 60分以上 |
| 屋外消火栓設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 自動火災報知設備 非常警報設備(非常ベル、自動式サイレン、放送設備) | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 蓄電池(直交変換装置を有するものを除く) | 10分以上 |
| ガス漏れ火災警報設備 | 直交変換装置を有しない蓄電池 自家発電設備 直交変換装置を有する蓄電池 燃料電池設備(注2に掲げる場合又は直交変換装置を有しない蓄電池を設ける場合) | 10分以上 |
| 誘導灯 | 直交変換装置を有しない蓄電池 | 20分以上 |
| 誘導灯(長時間対応) | 直交変換装置を有する蓄電池 自家発電設備 燃料電池設備 | 60分以上 (注3) |
| 排煙設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 連結送水管の加圧送水装置 | 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 120分以上 |
| 非常コンセント設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 無線通信補助設備 | 蓄電池設備 | 30分以上 |
| 総合操作盤 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 | 120分以上 |
注1 延面積が1,000㎡以上の特定防火対象物のうち、政令設置義務対象物(条例のみの設置義務対象物は除く。)
注2 2回線を1分間有効に作動させ、同時にその回路を1分間監視状態にすることができる容量を有する予備電源又は蓄電池設備を設ける場合
注3 延面積が50,000㎡以上、地階を除く階数が15以上で延面積が30,000㎡以上、(16の2)項で延面積が1,000㎡以上の防火対象物、又は地下駅舎で乗降場が地下3層以下の層に存するもの若しくは地下において複数の路線が乗り入れているもの
・配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、他の回路による障害を受けることのないような措置を講じるとともに、次の基準が必要です。
| 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。 |
| 電線は、耐火構造とした主要構造部に埋設することその他これと同等以上の耐熱効果のある方法により保護すること。 ただし、MIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線を使用する場合は、この限りでない。 |
| 開閉器、過電流保護器その他の配線機器は、耐熱効果のある方法で保護すること。 |
3.【FAQ】
Q1. 非常電源の使用時間の目安はあるのか?
火災の初期から避難完了まで必要な設備(警報設備等)は10分以上必要です。
火災の初期から初期消火まで使用する設備(消火設備等)は30分以上必要です。
火災発生後、消防隊が使用する設備は60分以上必要です。
全ての設備をまとめる総合操作盤や、連結送水管の加圧送水装置は120分以上必要です。
Q2. 自動火災報知設備の内部に設置されている予備電源(バッテリー)は?
予備電源の容量が、施行規則第24条に定める非常電源の容量以上である場合は、非常電源を省略することができるとされています。
(昭和44年3月29日 消防予第65号)
ただし、非常電源の容量が十分であっても、予備電源を省略することはできません。
Q3. なぜ自家発電設備が必要なのか?
自家発電設備は、火災時・停電時においても消防用設備等を確実に作動させるための“最後の砦”です。
商用電源は災害時に停電する可能性があるため、消防法では独立した非常電源を確保することが求められています。特に、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備など「人命に直結する設備」は、停電時でも確実に作動させる必要があります。
Q4. 蓄電池設備はどこにでも設置できるのか?
設備が入るスペースであれば設置可能です。
メンテナンスに必要なスペースに加えて定期的な交換や取替も検討し、十分なスペースを確保しておいた方がいいでしょう。
Q5. 停電が復旧したらどうなる?
自動的に商用電源に切り替わります。
Q6. 可搬式のモバイルバッテリーでもいいのか?
消防用設備等の非常電源として使用する蓄電池設備は固定式のものが必要です。
Q7. 消防への届出は必要か?
火災予防条例(例)では「蓄電池設備(蓄電池容量が20キロワット時以下のものを除く。)」は届出が必要となっています。
各都市の火災予防条例等で内容が異なる場合がありますので、管轄消防署に確認してください。
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