非常電源設備とは、常用電源である一般商用電源が停電したときに、消防用設備等が正常に作動できるように設置する電源をいいます。
非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備が該当します。
1.【条文】
消防法施行規則第12条第1項第4号
2.【解説・その他】
・電気を使用する消防用設備等においては、非常電源が必要です。
・非常電源の種類は次のとおりです。
| 非常電源 | 概要 |
| 非常電源専用受電設備 | ・商用電源を非常用設備専用に受電する方式で、一般受電とは系統を分離している ・専用のキュービクル等で受電して非常時の電源を確保する |
| 自家発電設備 | ・建物内で発電機を設置し、停電時に自分で電力を作る非常電源方式 ・規模の大きい建物に設置が必要。 |
| 蓄電池設備 | ・電気を蓄えて、停電時に放出する非常電源方式 ・比較的電力が少ない設備に使用できる |
| 燃料電池設備 | ・燃料(主に水素)と酸素の化学反応で電気を作る非常電源 ・高額のため、一般的に使用されていないが、基準として定められている |
・消防用設備ごとに必要となる非常電源及び時間は次のとおりです。
| 消防用設備等 | 非常用電源の種類 | 使用時分 |
| 屋内消火栓設備 スプリンクラー設備 水噴霧消火設備 泡消火設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 不活性ガス消火設備 ハロゲン化物消火設備 粉末消火設備 | 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 60分以上 |
| 屋外消火栓設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 自動火災報知設備 非常警報設備(非常ベル、自動式サイレン、放送設備) | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 蓄電池(直交変換装置を有するものを除く) | 10分以上 |
| ガス漏れ火災警報設備 | 直交変換装置を有しない蓄電池 自家発電設備 直交変換装置を有する蓄電池 燃料電池設備(注2に掲げる場合又は直交変換装置を有しない蓄電池を設ける場合) | 10分以上 |
| 誘導灯 | 直交変換装置を有しない蓄電池 | 20分以上 |
| 誘導灯(長時間対応) | 直交変換装置を有する蓄電池 自家発電設備 燃料電池設備 | 60分以上 (注3) |
| 排煙設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 連結送水管の加圧送水装置 | 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 120分以上 |
| 非常コンセント設備 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 燃料電池設備 | 30分以上 |
| 無線通信補助設備 | 蓄電池設備 | 30分以上 |
| 総合操作盤 | 非常電源専用受電設備(注1に掲げる防火対象物は除く。) 自家発電設備 蓄電池設備 | 120分以上 |
注1 延面積が1,000㎡以上の特定防火対象物のうち、政令設置義務対象物(条例のみの設置義務対象物は除く。)
注2 2回線を1分間有効に作動させ、同時にその回路を1分間監視状態にすることができる容量を有する予備電源又は蓄電池設備を設ける場合
注3 延面積が50,000㎡以上、地階を除く階数が15以上で延面積が30,000㎡以上、(16の2)項で延面積が1,000㎡以上の防火対象物、又は地下駅舎で乗降場が地下3層以下の層に存するもの若しくは地下において複数の路線が乗り入れているもの
・配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、他の回路による障害を受けることのないような措置を講じるとともに、次の基準が必要です。
| 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。 |
| 電線は、耐火構造とした主要構造部に埋設することその他これと同等以上の耐熱効果のある方法により保護すること。 ただし、MIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線を使用する場合は、この限りでない。 |
| 開閉器、過電流保護器その他の配線機器は、耐熱効果のある方法で保護すること。 |
3.【FAQ】
Q1. 非常電源の使用時間の目安はあるのか?
火災の初期から避難完了まで必要な設備(警報設備等)は10分以上必要です。
火災の初期から初期消火まで使用する設備(消火設備等)は30分以上必要です。
火災発生後、消防隊が使用する設備は60分以上必要です。
全ての設備をまとめる総合操作盤や、連結送水管の加圧送水装置は120分以上必要です。
Q2. 非常電源専用受電は停電時にはどうなる?
建物全体が停電した場合、非常電源専用受電設備は電力会社からの供給が途絶えるため使用できません。
※自家発電設備や蓄電池設備とは異なり、建物内で電気を作る機能はありません
Q3. 自動火災報知設備の内部に設置されている予備電源(バッテリー)は?
予備電源の容量が、施行規則第24条に定める非常電源の容量以上である場合は、非常電源を省略することができるとされています。
(昭和44年3月29日 消防予第65号)
ただし、非常電源の容量が十分であっても、予備電源を省略することはできません。
Q4.非常電源と保安用の予備電源は共用しても問題ないか?
非常用電源として必要な容量・性能を満たしていれば、保安用の予備電源と一体の設備として構成しても差し支えありません。
ただし、非常用として必要な部分が確実に確保され、他用途により機能が阻害されないことが条件となります。
検討される場合は管轄消防署へ確認してください。
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元消防士・全類取得消防設備士・行政書士の行政書士法人吉村防災システムが回答いたします。