非常用エレベーターとは、高さ31mを超える建築物に設置が義務付けられ、消防隊が火災時に活動するための昇降機です。
法令上では「非常用の昇降機」であり、非常エレベーター、非常用EV、非常エレ等とも表記されます。
本ページでは建築基準法の定義、設置基準、例外条件、運用上の注意点をまとめています。
1.【建築基準法令上の定義】
高さ31メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。
2.【条文】
建築基準法第34条第2項
建築基準法施行令第129条の13の3
3.【解説】
・非常用エレベーターには以下のような基準があります。
| 17名以上 |
| 積載荷重1150㎏以上 |
| 間口1800㎜以上、奥行き1500㎜以上 |
| 高さ2300㎜以上 |
| 定格速度 60m/min以上 |
| 予備電源必要 (規定はないがメーカーの仕様は60分程度が多い。多くは自家発電設備) |
| 籠内と中央管理室とを連絡する電話装置を設けなければならない。 |
| 予備電源を有する照明設備を設けること。 |
・乗降ロビーには次のような基準があります。
| バルコニーを設けること。 |
| 出入口(特別避難階段の階段室に通ずる出入口及び昇降路の出入口を除く。)には、特定防火設備を設けること。 |
| 窓若しくは排煙設備又は出入口を除き、耐火構造の床及び壁で囲むこと。 |
| 天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。 |
| 予備電源を有する照明設備を設けること。 |
| 床面積は、非常用エレベーター一基について10㎡以上とすること。 |
| 乗降ロビーには、見やすい方法で、積載量及び最大定員のほか、非常用エレベーターである旨、避難階における避難経路その他避難上必要な事項を明示した標識を掲示し、かつ、非常の用に供している場合においてその旨を明示することができる表示灯その他これに類するものを設けること。 |
| 乗降ロビーに消火活動拠点として連結送水管放水口、非常コンセント設備、排煙設備(又は外気開放の窓)等を設置 ←連結送水管とは? ←非常コンセント設備とは? ←排煙設備とは? ←消火活動拠点とは? |
・高さ31mを超える場合でも設置が不要な条件は以下のとおりです。
| 高さ31mを超える部分が階段室、装飾塔、物見塔、屋窓、機械室の場合 |
| 高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500㎡以下 |
| 高さ31mを超える部分が4階以下で、100㎡ごとに防火区画がある |
| 主要構造部が不燃材料で造られた機械製作工場や不燃性の物品を保管する倉庫 |
・非常用エレベーターには、籠を呼び戻す装置(呼び戻しボタン)を設け、かつ、当該装置の作動は、避難階又はその直上階若しくは直下階の乗降ロビー及び中央管理室において行うことができるものとしなければならないとされています。
・避難階における屋外への出口までの歩行距離が、30m以内のところに設置する必要があります。
・高さ31mを超える部分の床面積が最大の階の床面積が1500m²以下の場合1台、1500m²を超える場合は、3000m²以内を増すごとに1台ずつ追加する必要があります。
・非常用エレベーターを設置した場合、非常用の進入口の設置は不要となります。
4.【FAQ】
Q1. 非常用エレベーターは火災時も使用できるのか?
一次消防にすれば火災時でも使用可能です。
非常用エレベーターも煙感知器等の信号により火災管制運転となりますが、一次消防運転を起動すると火災管制運転は解除され、非常運転状態になります。
非常運転状態であれば非常用エレベーターの使用は可能になります。
なお、一次消防を戻すと通常運転に切り替わるため、再度火災管制運転の状態となり、避難階で着床します。
Q2. 非常用エレベーターを動かす鍵はどこにあるのか?
非常用エレベーターを中で操作するためには非常用エレベーターキーが必要です。
非常用エレベーターキーは防災センターに保管されている場合が多いです。
「非常エレ」と刻印されています。
Q3. 一次消防のまま全員降りたらどうなるのか?
内部で操作する必要があるため、扉を閉めることも移動もできなくなります。
一次消防中はかご内の操作しか対応しません。呼び戻しボタンも対応しません。
なので、扉を閉める、別の階へ行くには、必ずかご内で操作する人が必要になります。
一次消防を「入」の状態で鍵を抜くことはできますが、「切」に戻したり、二次消防にするためにはキーが必要になります。 活動中は挿しっぱなしにしたほうがいいでしょう。
Q4. 非常用エレベーター使用中に地震が起きたらどうなる?
地震が起きても運転します。
消防運転中(エレベーターかご内の一次消防もしくは二次消防よる運転中)は、P波並びに低ガルの感知器は自動リセットして、消防運転を優先継続致します。
但し、最上位の高ガル感知器が動作した場合にあっては、エレベーター(及び建屋)の大きな損傷も想定され、消防隊員の安全確保の観点から、最寄の階で運転休止となり、その後の消防運転は出来なくなります。
Q5. 非常用エレベーターを避難に使用することはできるか?
原則として、非常用エレベーターは避難用として使用することは想定されていません。
非常用エレベーターはあくまで 消防隊の消火・救助活動のための設備であり、 避難者が利用することを前提として設計されていません。
ただし、今後、非常用エレベーター等を複数設置することで、そのうちの一台を避難用として使用する研究は行われています。
階段移動困難者等が火災避難時に使うエレベーターの円滑な運転、誘導等に係る調査研究
★それゆけ!ほむらくん!でも解説しています。
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