ドレンチャー設備とは、建築物の窓、出入口、外壁などの開口部に配置されたヘッドから放水し、「水幕(ウォーターカーテン)」を形成することで、隣接建物からの延焼を防止したり、防火区画を形成したりするための設備です。
スプリンクラー設備の一種として扱われることもありますが、主に「建物の外側からの火」を防ぐ目的で使用されます。
1.【条文】
建築基準法2条9号の2(防火設備の定義)
建築基準法施行令第109条(防火設備の技術的基準)
建築基準法施行令第112条(防火区画の構造)
消防法施行令第12条第2項(随時閉鎖式防火設備の作動)
消防法施行規則第15条(ドレンチャー設備との関係)
2.【解説・その他】
・防火設備は外壁開口部だけでなく、建物内部の防火区画(面積区画・竪穴区画・異種用途区画)にも設置されます。
・ドレンチャー設備は 防火シャッターを設置するのが困難な大規模な開口部(建物の接続部・吹抜け・エスカレーター周りなど) に設置されます。
・専用のドレンチャーヘッドから下向きに放水し、水の幕を作るのが特徴です。
・スプリンクラーが「室内の消火」を目的とするのに対し、ドレンチャーは「火災の遮断・延焼防止」を主な目的とします。
・建築基準法において、一定の条件を満たすことで防火シャッターや防火扉の代わりとして、ドレンチャーによる水幕が認められるケースがあります。
・水の膜であるため、通常の防火設備と違い、冷却効果が望めます。また、避難時にも扉がないため、安全に避難ができます。
・ポンプ、配管、水源、地上には送水口などが必要となります。
・消防用設備等ではないため、工事に資格は不要ですが、実際に工事をするには消防設備士甲種1類の知識等が必要です。また、着工届出書に関しても法令義務ではありませんが、管轄消防署に確認が必要です。
・防火設備の点検は「防火設備検査員」が行います。資格講習等は一般財団法人日本建築防災協会が実施しています。
・防火設備検査員制度は、防火設備の閉鎖不良による重大火災が相次いだことを受け、平成26年の法改正で創設されました。
・防火設備の点検報告は建築基準法令で定められています。
3.【FAQ】
Q1. ドレンチャー設備の基準は?
消防法施行規則第15条で次のような基準が必要です。
| ドレンチャーヘッドは、開口部の上枠に、当該上枠の長さ2.5m以下ごとに一個設けること。 |
| 制御弁は、防火対象物の階ごとに、その階の床面からの高さが0.8m以上1.5m以下の位置に設けること。 |
| 水源は、その水量がドレンチャーヘッドの設置個数(当該設置個数が五を超えるときは、5とする。)に0.4㎥を乗じて得た量以上の量となるように設けること。 |
| ドレンチャー設備は、すべてのドレンチャーヘッド(当該設置個数が五を超えるときは、5個のドレンチャーヘッドとする。)を同時に使用した場合に、それぞれのヘッドの先端において、放水圧力が0.1MPa以上で、かつ、放水量が20リットル/分以上の性能のものとすること。 |
| 水源に連結する加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。 |
Q2. 防火区画以外のドレンチャー設備はあるのか?
文化財【(17)項】では、消防法令ではなく文化財関連のガイドラインにより、ドレンチャー設備、放水銃、屋外消火栓設備等を設置することにより火災から文化財を守る政策を行っています。
国宝・重要文化財(建造物)の防火対策ガイドライン
4.AIによるイメージ図


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